住まい選び~駅から離れた物件について~
駅近のメリットは利便性だが……
ある程度の規模の街で、駅から近い物件に住んでいれば、基本的には多くのメリットを享受できます。その理由としては、そのような街は駅を中心に大型商業施設、飲食店やレジャー施設を含む商店街、ドラッグストアやコンビニエンスストア、大小医療機関など、日常生活に便利な施設がほぼそろっているからです。
また、区役所など行政関連の施設や公共施設も、大抵は大きな街の駅の近くにあるので、各種手続きが楽に済ませられます。逆の見方をすれば、駅までの距離が遠くなればなるほど、その利便性が享受できなくなる、つまり不便になります。細かくも結構重要な事柄では、朝ゆっくりできない、天候の悪い時の通勤・通学が大変ということもあります。夜遅くに帰宅することが多い人は、さらに不便を感じるかもしれません。
しかし、物事には必ずいい面とそうではない面が存在します。特に「駅近」が最優先ではない人、「駅近の方がよさそう」というくらいの思いの人は、駅から離れた物件のことを知れば、住まい探しの考え方が変わるかもしれません。次項では、駅近にはない駅から離れた物件の魅力について見ていきます。
駅から離れると住まい探しの選択肢が増える
駅から離れた場所にある物件の大きな魅力として、まず「家賃」が挙げられます。利便性が高い駅近の物件は需要が高いので、家賃が高くなる傾向がありますが、その反対に駅から離れるほど家賃は低くなります。つまり、住み替えの予算を考えたときに、駅から離れた物件を候補の範囲に含めると、選択物件数が増えてくるわけです。選択肢が増えれば、希望の物件に出合える可能性が高まります。
具体的な可能性として、駅近物件では予算オーバーとなってしまう広い部屋や設備が充実した住居に住むことができるかもしれません。例えば同じ家賃で、駅近だとワンルーム限定なのに駅から離れることで1Kや1DKが候補に入ってきたり、同じく1階ではなく2階の部屋が候補に入ってきたりということがあるでしょう。また、オートロック物件が候補に入る、築年数が浅くて設備が新しめの物件が選べるということも考えられます。もちろん同じ仕様の物件が安く借りられるということもあるでしょう。
駅から離れていても不便に感じないことも
距離が遠いということが必ずしも「不便」に直結するわけではありません。日本の多くの地域では、交通網が発達しており、自治体が運営するバス路線、鉄道会社によるバス会社など、地域の中で運行路線を分けながら複数の会社がバスを走らせています。幹線道路だけでなく、道路が狭く利用客も限定される住宅地などでは、小型の「コミュニティーバス」を運行させている地域も多くみられます。特に朝夕には本数を多くしてあるので、住まいとバス停との距離が近ければ、毎日の通勤・通学での不便さはそれほど切実に感じないかもしれません。
また、自転車やスクーターに乗る人は、最寄り駅に公共の駐輪場が利用できればかなり便利で、時間短縮にもなります。食料品や日用品などのちょっとした買い物ならば自転車でも持ち運びできるので、快適に出かけられそうです。むしろ休日の行動範囲が広がるかもしれませんね。
ただし、バスにしても自転車・スクーターにしても、乗車料金、駐輪場代、ガソリン代が余分にかかりますので、家賃の他にその分の費用を考える必要があります。
そこまで不便さを感じない理由としては、もう一つ、コンビニエンスストアの存在があります。今やコンビニエンスストアは最も建築物の規制が厳しい第一種低層住居専用地域でも、許可基準をクリアしていれば建築・営業ができるので、閑静な住宅地にもあるのです(もちろん出店していない地域もありますが)。実際にそこに居住する人の利便性を向上させる目的で、国が規制緩和を進めたわけですから、たとえ一軒でもその有無による便利さの違いは大きいです。
どんな場所に住むかは、その人がどのような暮らしをしたいかによって、その選択は大きく変わってきます。住まい選びをするときには常に言われることですが、まず自分が希望する条件を出して、それに優先順位をつけていくことが必要です。その上で、駅近かそうでなくてもいいのか、あるいは駅から遠い方を好むのかを考えれば、自分が本当に望む場所が明確になってきます。
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